AENTRO Research
Initiation Report | 2026年5月11日
AHCグループ7083
障害福祉ワンストップ体制を M&A ロールアップで組み上げる — のれんと借入で規模を買いに行く、利益の質が問われる成長フェーズ
No Rating / No Target Price
TSE Standard
Stock Price (2026/5/11 close)Market CapFY2025/11 RevOPMPER (FY26E)Dividend Yield
¥708¥1.46B¥6,660M1.6%16.5x1.69%
項目FY2021FY2022FY2023FY2024FY2025
売上高百万円4,1144,9045,9156,2776,660
営業利益百万円-234-21520128108
営業利益率%-5.7-4.40.32.01.6
当期純利益百万円1-25367981
当期純利益率%0.0-5.21.11.60.0
EPS0.63-121.8232.3547.010.49
DPS0.000.000.0010.0012.00

1. 会社概要

1-1. サマリー

AHCグループ(7083、東証グロース)は、障害福祉サービスを軸にワンストップ体制を組み上げる、M&A 主導のロールアップ型オペレーターである。表層的には「福祉・介護・外食の 3 事業を抱える中堅コングロマリット」と映るが、同社を単なる介護サービス業界の一社として捉えるのは事業実態を取り違える読み方になる。経営資源配分とストーリーの主軸はすでに障害福祉(放課後等デイサービス/就労継続支援 B 型/生活介護/共同生活援助/児童発達支援/相談支援)に明確にシフトしており、介護・外食は歴史的経緯で残存するレガシーセグメントと位置付けるのが適切である。

項目内容
会社名AHCグループ株式会社(AHC Group Inc.)
代表者代表取締役社長 荒木 喜貴
設立2010 年 1 月
本社所在地東京都千代田区岩本町
上場市場東証グロース(2020 年 2 月 東証マザーズ上場 → グロース)
証券コード7083
決算期11 月期
従業員数(連結)489 名(FY2025 末)
連結子会社数8 社(FY2025 末、パパゲーノ・A ネクストワークス新規連結)
事業セグメント福祉事業/介護事業/外食事業
拠点数(FY2025 末)福祉 97 事業所/介護 32 事業所/外食 6 店舗
売上高(FY2025、連結)6,660 百万円(前期比 +6.1%)
営業利益(FY2025、連結)108 百万円(前期比 △14.9%)
当期純利益(FY2025、連結)1 百万円(減損 63 + 行政処分関連損失 8 百万円で実質蒸発)

FY2025 の連結売上高は 6,660 百万円(Appendix §7-1 参照)、福祉事業が 3,748 百万円と全体の 56.3% を占める。介護事業 1,564 百万円(構成比 23.5%)、外食事業 1,348 百万円(構成比 20.2%)を合わせても、福祉事業の絶対額と構成比はいずれも最大である。FY2020〜FY2025 の 5 年間で連結売上高は 4,086 → 6,660 百万円と +63% 拡大したが、この増分の大半は FY2022 の RAISE/CONFEL 取得以降の M&A と障害福祉拠点の純増に由来する。

同社を特徴づけるのは、規模拡大の燃料調達構造である。自己資本比率は FY2020 35.3% から FY2025 19.4% まで 16 ポイント低下し、長期借入金は 1,596 百万円から 3,419 百万円へと 2.1 倍に膨らんだ(Appendix §7-2 参照)。成長をデットファイナンスで賄うロールアップ経営は、制度需要の安定性を前提にしているがゆえに、指定取消や減損などの単発ショックで利益が蒸発しやすい。FY2025 純利益 1 百万円という結果は、この構造的な利益の質の問題が顕在化した 1 期目であり、本レポートが最も注視する論点でもある。

同社は上場直後の多角化オペレーターから、障害福祉ロールアップへ意図的に事業構造をスライドさせつつある。介護事業は FY2024 の営業損失 △28 百万円から FY2025 △2 百万円と収支均衡直前まで改善し、外食事業は営業利益 88 百万円とキャッシュエンジンの役割を担う一方で、経営資源と M&A 実行は福祉事業に集中している。「多角化を続ける中堅」から「障害福祉特化ロールアップ」への変化の只中にある会社として読むのが、本レポートの立脚点である。

1-2. 基本情報

正式名称はAHCグループ株式会社(英文名 AHC Group Inc.)。2010 年 1 月設立、2020 年 2 月 25 日に東証マザーズへ上場、2022 年 4 月の市場区分見直しでグロース市場に区分されている。決算期は 11 月期で、FY2025 は 2024 年 12 月〜2025 年 11 月の 12 か月に相当する。

人的資本の基礎数値は連結従業員数 489 名(FY2025 末、就業人員)。FY2020 の 355 名から 5 年で +38% 拡大しており、福祉事業所数の増加ペース(FY2025 末時点で福祉 97 事業所)と歩調が合う。臨時雇用者は FY2024 年平均で 383 名、本社一括採用ではなく事業所ごとの地域採用が中心である。障害福祉と介護の現場職の比率が高く、労働集約度の高いオペレーションを地域密着で運営する業態であることは、後述する収益モデル(§2-4)と直結する。

1-3. 会社の定義

本レポートでは、同社を「障害福祉サービスを軸にワンストップ体制を組み上げる、M&A 主導のロールアップ型オペレーター」と定義する。事業ポートフォリオは三層構造で読むのが適切である。

第一層は成長コアの障害福祉事業である。放課後等デイサービスで入口を取り、就労移行支援・就労継続支援 B 型で就労機会を提供し、生活介護・共同生活援助(グループホーム)で成人期の居住・日中活動をカバーする。障害者のライフステージを横断で捕まえるワンストップ構造は、地方自治体・家族・利用者に対するスイッチングコストを高め、後述するロールアップ M&A の定着ロジックを支える。

第二層は改善セグメントの介護事業である。デイサービスを中心に FY2025 末で 32 事業所を運営し、FY2024 の営業損失 △28 百万円から FY2025 △2 百万円へと赤字幅が縮小した。拠点の閉鎖・事業譲渡を通じた収益性改善が進んでおり、福祉事業への経営資源集中の結果として縮小・最適化フェーズにある。

第三層はレガシーキャッシュエンジンの外食事業である。居酒屋「ねぎま三ぞう」等の 6 店舗で、FY2025 の営業利益は 88 百万円と 3 セグメント中2番目である。創業期の収益源として残っているが、経営資源の増強対象ではなく、既存店の稼働維持と安定収益の提供に軸足が置かれている。

この三層構造の読み方を採ることで、同社の資本効率・利益の質・成長余地が、単一セグメントを前提とした分析では捉えきれない質感で立体化する。以降の各章は、この定義を角度を変えて繰り返し検証する構成となる。

1-4. 沿革

年月イベント
2007 年介護ジャパン株式会社設立(通所介護事業所を起点とする創業)
2008 年外食店舗(居酒屋)を開店
2010 年 1 月AHCグループ株式会社設立(事業運営のサポートを目的として設立)
2014 年障害福祉事業(放課後等デイサービス)に参入
2016 年就労継続支援 B 型・就労移行支援等 障害福祉事業の業態を拡大
2019 年持株会社体制への移行を完了
2020 年 2 月東証マザーズ上場
2022 年 4 月市場区分見直しにより東証グロース市場へ移行
2022 年 9 月株式会社 RAISE/株式会社 CONFEL を子会社化(愛知県の障害福祉 8 事業所を承継)
2024 年 5 月株式会社 manaby と資本業務提携
2024 年 12 月株式会社パパゲーノ(就労継続支援 B 型)を完全子会社化(のれん +61 百万円)
FY2025 期中A ネクストワークス株式会社を新設、連結子会社 8 社体制へ

同社の沿革は、介護からスタートし外食・福祉へと業容を広げた創業期(2007〜2015)、障害福祉事業を中核に据える転換期(2016〜2019)、東証マザーズ上場と持株会社体制を起点に資本調達と M&A を組み合わせた成長期(2020〜2022)、FY2024 以降の完全子会社化・新設子会社による福祉特化拡張期(2023〜現在)の 4 段階に区切れる。

介護から始まり外食を経て障害福祉に軸足を移した軌跡は、単なる事業多角化ではなく、制度的需要が最も厚い領域への意図的シフトとして読める。2022 年以降の M&A は、福祉事業の地域網・サービスライン・人材を同時に取得するロールアップの色彩が鮮明で、のれんは FY2024 末 244 百万円から FY2025 末 305 百万円へ増加した。成長の質は、新規開設の純増より M&A 連結増分に依存する度合いが年々高まっている。

1-5. 経営陣

代表取締役社長の荒木喜貴氏は、創業以来 19 年にわたり同社を率いる創業経営者である。介護事業を起点に外食・障害福祉へ事業領域を広げ、上場後は M&A を梃子にロールアップ戦略を主導してきた。創業家が過半の議決権を支配する同社において、荒木氏の経営判断は事実上そのまま全社の意思決定となる構造にある。

取締役・執行役員体制は、創業メンバーに加えて財務・管理部門の強化を目的とした外部招聘人材で構成される。副社長には土山茂太氏が就き、同氏の資産管理会社 G2 株式会社が 2.63%・本人個人で 1.73% の株式を保有する。技術者集団型の企業ではなく、福祉・介護・外食のオペレーション実行力を現場レベルで設計し、M&A で獲得した拠点を統合運営する機能を中核に据える経営陣構成である。

買収先企業の経営陣を連結子会社の代表としてそのまま引き継ぐ例も多く、SL カンパニー(福祉)・テラスワールド(福祉)・介護ジャパン(介護)・センターネットワーク(外食)・RAISE/CONFEL(福祉)・パパゲーノ(福祉)の各社それぞれに独立性の高い経営体制が併存する。持株会社として全社戦略・資本政策・M&A 実行を本社側が担い、オペレーションは現場に委ねる役割分担と理解できる。

経営陣と株主の利害整合(スキン・イン・ザ・ゲーム)の観点では、荒木社長の資産管理会社 YHC と個人持分の合計で 49.68%、副社長の資産管理会社 G2 で 2.63%、社員持株会で 3.01% と、経営幹部および従業員の株式保有比率が他の中小型上場企業に比して高い。株式報酬費用は FY2024 3.9 百万円 → FY2025 8.3 百万円 と 2 倍超に増加しており、株価連動型のインセンティブ設計が段階的に導入されつつある。一方、支配株主型のガバナンスのもとで役員報酬の決定プロセスや指名委員会の実質的な関与度は外部から見えにくい論点で、任意の報酬諮問委員会の運用実態が中長期の評価軸となる(§1-7 で詳述)。

1-6. 主要株主・資本構成

出所:会社開示資料よりAENTRO Research作成
株主所有株式数(株)持株比率
YHC 株式会社(荒木社長資産管理会社)572,00027.62%
荒木 喜貴(代表取締役社長)457,00022.06%
AHC グループ社員持株会62,3003.01%
村光 伸介60,0002.90%
G2 株式会社(土山副社長資産管理会社)54,4002.63%
吉元 幸次郎42,9112.07%
田中 康雅39,0801.89%
土山 茂太(代表取締役副社長)35,7621.73%
MHC 株式会社30,0001.45%
薛 学立28,5001.38%
計(上位 10 名)1,381,95366.72%

出所:FY2025(2025年11月期)有価証券報告書より AENTRO Research 作成

筆頭株主は荒木社長の資産管理会社 YHC 株式会社で 27.62% を保有し、荒木氏個人の 22.06% を合算すると創業家持分は 49.68% に達する。副社長の資産管理会社 G2 株式会社(2.63%)・土山副社長個人(1.73%)・社員持株会(3.01%)を加えれば、事実上の創業家コントロール企業と位置付けて差し支えない。上位 10 名計で 66.72% が固定化されており、浮動株比率は低い。

この資本構造は意思決定の速度と資本政策の一貫性を担保する一方で、外部株主による監視圧力が構造的に弱く、支配株主型ガバナンスの限界とトレードオフの関係にある。M&A 実行・セグメント組替え・配当方針の変更を機動的に行える強みは、裏を返せば少数株主にとって「経営判断の合理性を外部から検証する余地が限定される」という論点に直結する。2022 年の RAISE/CONFEL 取得から 2024 年のパパゲーノ完全子会社化まで、M&A 決定のスピードが業界平均に比して速いのは、この資本構造の帰結と読める。

FY2025 は自己株式の取得(△32 百万円)と配当支払(△20 百万円)を並行実施しており、株主還元の型は配当(FY2024 10 円 → FY2025 12 円 → FY2026E 12 円)と機動的自社株買いの組み合わせで運用している。

1-7. コーポレートガバナンス

機関設計は監査役会設置会社である。取締役会は社内取締役と複数の社外取締役で構成され、社外取締役比率は独立性の観点から一定以上の水準を確保している。監査役会は社外監査役を含む複数名体制で、内部統制・財務報告の信頼性・M&A 案件の検証を担う。

創業家が過半を支配する株主構成のもとでは、ガバナンスの実効性は「社外役員の実質的機能発揮」に帰着する。支配株主の利益と一般株主の利益が構造的にずれやすいのは、全国のオーナー系上場企業に共通する論点だが、同社の場合は M&A とのれん計上を繰り返す事業モデル特性から、買収対価の妥当性・のれん減損の判定・関連当事者取引の監視が論点として浮上しやすい。

同社は任意の報酬諮問委員会のみを設置し、社外役員が関与する運用としている(指名委員会等は設置していない)。FY2025 期中に福祉事業で行政処分関連損失 8 百万円が計上された件は、現場オペレーションのリスク管理体制と本社統制との接続点で、今後の開示に注視する価値がある(詳細は §3-4 で扱う)。

1-8. ESG/サステナビリティ情報

同社のサステナビリティ課題は、業態特性から社会(S)とガバナンス(G)が中心に位置付けられる。社会面では、障害福祉サービス利用者数が全国で 171 万人・前年比 +5.9% と継続拡大する構造的需要のなかで、利用者に対するサービス品質・虐待防止・権利擁護の体制整備が事業継続性の前提条件となる。FY2025 の行政処分関連損失は金額としては 8 百万円と軽微だが、指定取消・報酬返還は拠点単位で発生すればロールアップ戦略全体に響くため、拠点数の増加と現場統制の両立が同社の最重要経営課題である。

人的資本の観点では、福祉・介護の現場職人員の確保・定着が事業拡大の律速要因となる。全国的に介護・福祉職の採用難が続くなかで、M&A によって既存事業者の人員ごと取得する戦略は、自前採用だけに依存する新規開設モデルに比べて人員確保リスクを緩和する合理性を持つ。従業員数は FY2023 478 名から FY2025 489 名へと拡大しており、事業所数の増加(FY2025 末 福祉 97 ・介護 32 ・外食 6 の計 135 拠点)に対応した人員投入が継続している。

ガバナンス面では前述のとおり創業家支配型の資本構造が前提となる。障害福祉事業は都道府県(または市区町村等)の指定取消処分が事業全体の存続を揺るがすため、社外役員による独立監視と内部統制の実効性が、ESG 評価の核心に位置する。本レポートでは、これらの要因を §3-4(制度・規制環境)および §6-4(Anti-thesis)で投資リスクとして具体的に評価する。

第 2 章では、この会社定義を踏まえ、何を売って儲けているのか、M&A で取得してきた事業がどのように収益に寄与しているのかを、セグメント単位で解剖していく。

2. 事業内容

2-1. 事業全体像

同社の事業を理解するうえでまず重要なのは、同社を単なる「介護サービス業界の中堅オペレーター」として捉えないことである。連結売上高 6,660 百万円(FY2025)のうち、福祉事業が 3,748 百万円・構成比 56.3% を占め、事業所数でも福祉 97/介護 32/外食 6 の計 135 拠点中 7 割超が福祉事業所である。報告セグメントは「福祉事業」「介護事業」「外食事業」の 3 区分だが、経営資源配分・M&A 実行・新規開設の中心はいずれも福祉事業に寄せられている。

会計上の報告セグメントは現在の 3 区分で安定しているが、FY2025 より「生産活動収入」を売上高に、「利用者工賃」および「生産活動費用」を売上原価に計上する表示方法変更を実施した(詳細は §4-2 で扱う)。この変更は就労継続支援 B 型事業の会計表示を本業の売上・原価として明示する意図のもので、障害福祉事業に経営の重心があることを会計表示の側面からも確認できる。FY2024 は遡及適用後の組替後値(売上高 6,277 百万円、営業利益 128 百万円)が比較対象となる。

2-2. サービスライン別の構成

出所:会社開示資料よりAENTRO Research作成
セグメントFY2024 売上(百万円)FY2025 売上(百万円)YoYFY2024 営業利益FY2025 営業利益FY2025 構成比
福祉事業3,4413,748+8.9%25022056.3%
介護事業1,6431,564△4.8%△28△223.5%
外食事業1,1921,348+13.0%808820.2%
調整額△174△197
連結合計6,2776,660+6.1%128108100%

出所:FY2025 決算短信より AENTRO Research 作成(福祉・介護・外食は組替後ベース、調整額は全社費用)

3 セグメントは成長コア・改善セグメント・キャッシュエンジンの三層として読むのが実態に即している。成長コアの福祉事業は売上 +8.9%・事業所数純増で規模拡大が続き、改善セグメントの介護事業は売上 △4.8% の縮小局面にありつつ営業損失が △28 → △2 百万円と収支均衡直前まで改善した。キャッシュエンジンの外食事業は売上 +13.0%・営業利益 88 百万円で 3 セグメント中2番目の利益寄与を保つ。

ここで注目すべきは、福祉事業の営業利益が FY2024 250 百万円から FY2025 220 百万円へ △12.2% 減益した点である。売上は +8.9% で伸長したが、新規開設費用と M&A で取得した事業所の立ち上げコストが営業利益を圧迫する形で、成長投資が当期利益を削っている。同社のロールアップ戦略が、売上成長とセグメント利益の短期的なトレードオフを内包することを示す事例である。

2-3. 福祉事業 — 成長コアの解剖

福祉事業は、障害者のライフステージを横断で捕まえるワンストップ型オペレーションが特徴である。サービスラインは放課後等デイサービス(児童期)、児童発達支援(就学前)、就労移行支援・就労継続支援 B 型(青年・成人期の就労支援)、生活介護(日中活動)、共同生活援助(グループホーム、居住)、相談支援(横断的コーディネーション)の 6 ラインで構成される。

顧客は一次的には障害児・障害者本人とその家族だが、売上の受取先は市区町村および国(障害福祉サービス等報酬)で、実態は公定価格型の制度ビジネスである。報酬単価は 3 年ごとに国の報酬改定で更新され、事業所の指定認可・運営基準は都道府県(または市区町村等)が監督する。需要側は全国で 171 万人・前年比 +5.9%(厚生労働省 2025 年 8 月時点)と構造的に拡大しており、中長期の追い風は制度ドリブンで安定的に続く見通しである。

同社はこの制度需要を、M&A と新規開設の両輪で取り込んでいる。FY2022 9 月の株式会社 RAISE/株式会社 CONFEL 取得は愛知県で障害福祉 8 事業所を一括承継した大型案件で、地域網・利用者基盤・人員を同時に獲得するロールアップの典型例である。FY2024 12 月の株式会社パパゲーノ完全子会社化は就労継続支援 B 型を取り込む案件で、のれんは +61 百万円計上された。同社のサービス設計上、就労継続支援 B 型と共同生活援助(グループホーム)の組み合わせは利用者 1 人あたりの年間報酬額が大きく、重点的に増やしているサービスラインである。

FY2025 末の福祉事業所数 97 に対し、営業利益 220 百万円・営業利益率 5.9% は、ワンストップ型福祉オペレーターとしては健全な水準にある。アンビスホールディングスのようなホスピス系特化(営業利益率 7% 超)との比較では改善余地が残るが、放課後等デイから共同生活援助まで幅広いサービスを混在運営する同社モデルでは、サービスライン間の稼働率格差が利益率を平均化する傾向がある。

2-4. 介護事業 — 改善セグメントの再配置

介護事業はデイサービス(通所介護)を中心に、FY2025 末で 32 事業所を運営する。FY2024 売上 1,643 → FY2025 1,564 百万円(△4.9%)は、前期までの不採算事業所の閉鎖・事業譲渡が主因で、縮小自体は意図的な再配置の結果である。FY2025 単期でも 1 事業所を事業譲渡、2 事業所を閉鎖しており、FY2024 末 35 事業所前後から FY2025 末 32 事業所へ純減した。営業損益は FY2024 △28 百万円 → FY2025 △2 百万円と 26 百万円の改善で、不採算部門の整理と既存事業所の運営効率化が同時並行で機能した結果と解釈できる。FY2026 には黒字転換が射程に入る水準まで戻った。

同社の介護事業は、高齢者介護市場全体のトレンド(ソラスト・学研 HD・ケア 21 等の大型事業者の多角化競争)とは異なる位置取りにある。経営資源を福祉事業に集中する戦略のもとで、介護事業は縮小・最適化フェーズに置かれており、セグメント資産の純増は抑えられている。新規開設より既存拠点の稼働改善・不採算拠点の撤退に経営の力点が置かれているため、売上高の縮小は戦略的縮退として解釈するのが適切である。市場全体では介護報酬改定(直近 2024 年 4 月)で通所介護の基本報酬単価が微減となる一方、看取り・リハ特化等の加算取得が収益性を規定する構造に移行しており、同社のような中小規模オペレーターにとっては稼働率と加算取得率の両立が収益性の分水嶺となる。

FY2026 計画では、レクリエーション等のイベント開催による利用動機の創出と、利用頻度増加を狙った提案型営業を継続する方針である(FY2025 決算短信「今後の見通し」)。投資家目線では、同セグメントは成長ドライバーではなく「赤字脱却の確度」が評価軸となる。32 事業所ベースで 1 事業所あたり月次売上 4.1 百万円・営業損益ほぼゼロのユニットエコノミクスが、FY2026 以降にプラス域へ抜けるかどうかが焦点で、残存拠点の稼働率が 75% を超える水準で安定するかが定量的なウォッチ対象となる。

2-5. 外食事業 — レガシーキャッシュエンジン

外食事業は居酒屋「ねぎま三ぞう」等を中心に FY2025 末で 6 店舗を運営する。FY2025 売上 1,348 百万円(前期比 +13.0%)・営業利益 88 百万円(同 +9.7%)・営業利益率 6.5% は、3 セグメント中2番目の利益寄与で、実質的なキャッシュエンジンの役割を果たす。前期に 1 店舗を閉店しているにもかかわらず売上が 2 桁成長した主因は、会社開示によれば (1) メニュー改定による客単価の上昇、(2) 食品の加工・物流事業における取引量の増加の 2 点である。店舗数は縮小しつつも、店舗単価と周辺事業(加工・物流)の押上げで既存資産の稼働効率を引き上げた格好で、創業期からの外食ノウハウを派生収益に拡張した典型的なパターンと読める。

外食事業がもたらす営業利益 88 百万円は、連結営業利益 108 百万円(調整額 △197 百万円控除後)の実質的な支え手となっている。福祉・介護セグメントの営業利益を合算しても 217 百万円で、全社費用として 197 百万円が調整額で控除される構造のため、3 セグメントの利益貢献の相対関係は単純な並置では見えにくい。外食事業の利益寄与の大きさは、同社のロールアップ戦略が福祉一本足打法ではなく、レガシーセグメントの安定キャッシュで成長投資を支える構造にあることを示す。営業利益率 6.5% は全国居酒屋チェーンの平均水準(5% 前後)を上回り、地方中核エリアに絞った少数精鋭運営が奏功している。

FY2026 の方針は、短信ガイダンス上で 3 点が明示されている。第一に、原材料価格の高騰への対策としてメニュー・価格の見直しを継続し客単価を維持する。第二に、抑制してきた新規店舗出店を再開する余地を持たせる。第三に、食品加工・物流事業の外部販売強化で、店舗売上とは独立した収益源を拡大する。店舗依存型の外食セグメントに、B2B 加工・物流という非店舗収益を重ねる構造は、人件費高騰と客数頭打ちが構造課題である国内外食業の中では相対的に利益の粘り強さを確保しやすい。全社的には福祉事業への経営資源集中が最優先だが、外食の安定キャッシュが無ければ FY2025 のような単発損失期(純利益 1 百万円)に配当 12 円を維持するだけの余力も生まれない点は、資本政策全体を評価する上で重要である。

2-6. 主要 KPI

KPI単位FY2024FY2025
連結従業員数(就業人員)470489
連結子会社数68
福祉事業所数(末)97
介護事業所数(末)32
外食店舗数(末)6
福祉事業 売上高百万円3,4413,748
福祉事業 営業利益百万円250220
介護事業 売上高百万円1,6431,564
介護事業 営業利益百万円△28△2
外食事業 売上高百万円1,1921,348
外食事業 営業利益百万円8088
障害福祉サービス利用者数(全国)万人171

出所:有価証券報告書および決算短信、厚生労働省「障害福祉サービス等の利用状況」より AENTRO Research 作成

KPI の軸は「事業所数の純増ペース」「セグメント別営業利益率」「全国利用者数の伸長」の 3 つに集約される。同社の成長ストーリーは、全国で 171 万人・前年比 +5.9% の利用者母数が継続拡大する制度需要のなかで、福祉事業所数を M&A と新規開設の両輪で積み増し、ワンストップ体制に組み上げる構造である。

2-7. 競争優位

競争優位は 3 点に整理できる。第一に、障害者のライフステージを横断で捕まえるワンストップ構造である。放課後等デイで入口を取り、就労継続支援 B 型で就労機会、共同生活援助で居住を提供できる事業者は地方中堅クラスでは限定的で、利用者・家族・自治体に対するスイッチングコストを構造的に高める。第二に、M&A を通じたロールアップの実行力である。2022 年の RAISE/CONFEL 取得から 2024 年のパパゲーノ完全子会社化まで、3 年間で 3 件の子会社化を実行し、のれん残高を FY2024 末 244 → FY2025 末 305 百万円まで積み増した。第三に、創業家支配による意思決定の速度である。持株比率 ~51% の創業家が M&A 決定・資本調達・セグメント組替えを機動的に行える構造は、同業中堅の稟議遅延を避ける一方で、支配株主型ガバナンスのリスクと表裏の関係にある。

これらは制度ドリブンの需要拡大・拠点網の広さ・ガバナンス構造の 3 要素が相互に強化し合う形で機能する。逆に、いずれかの前提(例:報酬改定によるマージン圧縮、指定取消による拠点網の毀損、支配株主の判断ミス)が揺らげば、競争優位も同時に劣化する連動性を内包する。

2-8. 事業上の主要論点

ポジティブ面では、需要の構造的拡大が最大の追い風である。全国の障害福祉サービス利用者数 171 万人・前年比 +5.9% は団塊ジュニア世代の高齢化と重なる 2040 年問題を通じて長期の拡大軌道にある。ワンストップ型事業所の希少性は、地方中堅オペレーターにとっての参入障壁として機能する。

ネガティブ面では、利益の質の希薄化リスクが最大の論点である。FY2025 の営業利益 108 百万円に対し、特別損失 71 百万円(減損 63 + 行政処分関連 8)が税金等調整前利益を 58 百万円まで圧縮し、最終利益は 1 百万円まで細った(詳細は §4-5)。ロールアップ戦略が続く限り、拠点単位の減損と都道府県(または市区町村等)による指定取消・報酬返還は構造的に発生確率が上昇する。

表面的には福祉・介護・外食の多角化中堅に映るが、実態としては障害福祉ロールアップ企業へと事業構造を組み替えつつある途上にある。第 3 章では、この構造変化の根拠となる経営戦略と制度環境を、M&A ポリシー・人員計画・報酬改定の読み方を軸に掘り下げていく。

3. 経営戦略

3-1. 戦略の全体像

同社の経営戦略を読むうえで重要なのは、単なる多角化中堅から障害福祉ロールアップ企業への組替え局面にあると位置付けることである。FY2020 の東証マザーズ上場までは外食・介護・福祉の 3 軸を並列に伸ばす多角化路線だったが、上場後は明確に障害福祉事業を成長コアに据え直し、M&A と新規開設の両輪で拠点網を拡張する局面に移行した。介護事業は不採算拠点の撤退と事業譲渡で縮退、外食事業はキャッシュエンジンとして安定運営、という役割分担を明確にしたうえで、福祉事業に経営資源を集中させる構図である。

この戦略は「需要は制度で担保される」という前提に強く依存する。障害福祉サービスの報酬単価は国の 3 年ごとの報酬改定で決まり、指定認可は都道府県(または市区町村等)が管轄する。需要の予見性は高い一方で、制度改定の方向性と現場オペレーションの統制が業績ドライバーの中核に位置付けられる。同社の戦略は、この制度ドリブンの構造的需要を、M&A によってロールアップ的に取り込みつつ、ワンストップ体制で利用者・家族・自治体に対するスイッチングコストを高める設計として読める。

3-2. 市場環境と市場機会

障害福祉サービスの全国利用者数は 171 万人・前年比 +5.9%(厚生労働省「障害福祉サービス等の利用状況」2025 年 8 月時点)で、過去 10 年以上にわたって一貫した増加基調にある。障害者手帳所持者の高齢化(身体障害)、発達障害の診断拡大(知的・精神障害)、制度利用率の上昇が複合的に寄与しており、単年の景気変動に左右されない構造的需要である。

報酬総額ベースで見れば、障害福祉サービス等給付費は年 1 兆円規模の市場を超えており、同市場内の特定サービスラインである就労継続支援 B 型・共同生活援助・生活介護は、いずれも利用者数ベースで継続拡大している。団塊ジュニア世代が 2040 年前後に高齢者区分へ移行する局面では、身体障害・知的障害の重度化に伴う居住系サービス(共同生活援助)の需要はさらに厚みを増す。同社が共同生活援助と就労継続支援 B 型を重点サービスラインに据えているのは、この中長期の需要構造と整合する。

介護事業が属する高齢者介護市場(約 11 兆円)と比較すると、障害福祉市場は規模で劣るものの、1 事業所あたりの利用者数・単価・競合密度の観点で、中堅事業者が地方中核都市で地域網を組む余地が相対的に大きい。全国で寡占が進んでいるソラスト・学研 HD 等の高齢者介護大手に対し、障害福祉領域は都道府県単位の中小事業者が分散する構造で、ロールアップの経済合理性が成立しやすい土壌がある。

3-3. 成長戦略の基本骨格

成長戦略は 3 層で整理できる。第一に、既存福祉事業所の稼働深耕である。ワンストップ体制のもとで、放課後等デイから就労継続支援 B 型、共同生活援助へと利用者のライフステージ移行を内部でつなぐことで、1 利用者あたり生涯報酬を最大化する設計である。第二に、地域網の横展開である。M&A による既存事業者の一括承継と新規開設の両輪で、都道府県単位の事業所密度を高める。第三に、サービスライン縦展開である。児童期・青年期・成人期・高齢期を網羅するフルライン化を進め、ライフステージをまたぐ利用者囲い込みを強化する。

FY2025 の福祉事業売上 3,748 百万円・前期比 +8.9% は、この 3 層戦略が同時並行で機能していることの定量的裏付けである。増収 +307 百万円の内訳は、M&A 連結増分(パパゲーノ)・既存事業所の稼働改善・新規開設の純増の合算で、M&A が継続する限り売上成長の年率 +7〜10% レンジは当面維持可能な水準と見られる。

3-4. 制度・規制環境と報酬改定の読み方

障害福祉事業は都道府県(または市区町村等)の指定認可事業であり、業績ドライバーの中核は国の障害福祉サービス等報酬改定にある。報酬改定は原則 3 年ごとに実施され、直近では 2024 年 4 月改定(令和 6 年度)が FY2024 第 2 四半期以降の業績に反映された。報酬改定はサービスライン別・加算減算項目別に細かくパラメータが動き、単純な「プラス改定/マイナス改定」では捉えきれない。同社が重点を置く就労継続支援 B 型は、工賃向上・一般就労移行の実績に応じた加算が厚くなる改定方向にあり、事業所オペレーションの質が報酬単価に直結する構造が強まっている。

次回の報酬改定(2027 年 4 月予定)に向けては、制度設計の方向性が引き続き事業者にとっての外生ショックとなりうる。共同生活援助の重度者対応加算、就労継続支援 B 型の一般就労移行実績評価、放課後等デイの質の評価指標など、同社の主力サービスラインに関わる論点が複数ある。報酬改定の影響は、事業所単位で計算された報酬単価の改定率と、加算取得状況の変化の合成で決まるため、通知直後の単純な計算では実質的な影響度を読み違えることが多い。

もう一つの制度リスクは、都道府県(または市区町村等)による指定取消・報酬返還処分である。障害福祉事業所は 6 年ごとに指定更新が必要で、虐待・不正請求・人員配置基準違反などが発覚すれば指定取消や業務改善命令の対象となる。FY2025 には同社で行政処分関連損失 8 百万円が計上された。金額としては軽微だが、ロールアップ戦略で拠点数を増やすほど、拠点単位の処分リスクは構造的に増加する。1 拠点の指定取消で取得時ののれんが一括減損に追い込まれる事態は、同社の事業モデルで最も警戒すべきシナリオの一つである。

3-5. 成長戦略の定量的輪郭

同社は正式な中期経営計画を公表しておらず、年次で「事業計画及び成長可能性に関する事項」として de-facto 中計にあたる数値計画を開示している。直近版(FY2024 進捗資料)では、FY2026 売上高 7,230 百万円・営業利益 370 百万円の姿が提示されている。売上の実現可能性は FY2025 の着地 6,660 百万円に対し +8.6% のレンジで比較的現実的だが、営業利益 370 百万円は FY2025 実績 108 百万円の 3.4 倍で、短信ベースの FY2026 会社ガイダンス(営業利益 175 百万円)とも大きく乖離する。

この乖離は、成長可能性資料の数値が「M&A・新規開設の積み上げベストケース」を前提とするのに対し、短信ガイダンスは「現時点で固めた案件の積み上げ保守ケース」を前提としているためと読める。同社は M&A 実行の有無で利益水準が大きくスイングする構造にあり、どちらを基準に戦略進捗を評価するかで見え方が変わる。本レポートでは短信ガイダンス(営業利益 175 百万円)を一次ベンチマーク、成長可能性資料の 370 百万円を上振れレンジと位置付けて評価する(詳細は §5 で扱う)。

3-6. 投資計画と人材戦略

成長の律速要因は人材確保である。福祉・介護の現場職人員は全国的に採用難が続いており、新規開設モデル単独では拡大ペースが人員供給に制約される。同社が M&A を重視するのは、事業所取得と同時に現場人員を一括承継できる点に戦略的合理性があり、自前採用中心の同業他社との差別化要因でもある。連結従業員数は FY2021 387 → FY2025 489 名と +26% 拡大したが、福祉事業所数の拡大ペース(M&A 連結増分を含む)には追いついていない局面もあり、既存人員での事業所運営の厚みが論点となる。

設備投資は福祉事業所の新規開設・既存改修が中心で、FY2025 の有形固定資産取得支出は 280 百万円である。共同生活援助(グループホーム)は住居物件の取得または賃借が必要で、投資不動産(FY2025 末簿価 353 百万円)の一部はこの用途に振り向けられている。M&A 支出は FY2025 にパパゲーノ取得で △88 百万円が投資 CF に計上された。FCF は FY2025 △203 百万円(営業 CF 192 + 投資 CF △395)と赤字で、長期借入金の +950 百万円調達でファイナンスされている。成長フェーズではこの構造が続く想定で、§4-4 で詳述する。

3-7. 戦略の優先順位と今後の論点

同社の戦略は、障害福祉の構造的需要を M&A + 新規開設で取り込み、ワンストップ体制で利用者ライフステージ横断の囲い込みを強化する多層構造で機能している。投資家目線で今後追うべき論点は次の 3 点に集約される。第一に、FY2026 通期ガイダンス(営業利益 175 百万円)の達成確度である。Q1 FY2026 の営業利益 1 百万円(進捗 0.6%)・上期ガイダンス自体が減益という足下状況(§4-6)は、後半 2 四半期での収益加速に全依存する構造で、達成可否は M&A 連結貢献と既存事業所の稼働改善の両立にかかっている。第二に、拠点単位の減損・指定取消リスクの発現度合いである。FY2025 に計上された減損 63 百万円と行政処分関連損失 8 百万円は、ロールアップ戦略が続く限り繰り返し発生しうる性質の単発損失で、発生頻度・金額規模が利益の質を規定する。第三に、2027 年 4 月の次回報酬改定に向けた就労継続支援 B 型・共同生活援助の加算設計の方向性で、同社の重点サービスラインの収益性に直結する論点である。

要するに、同社の戦略は「制度需要 × ロールアップ × ワンストップ」の 3 要素が嚙み合えば年率 +8% の売上成長と営業利益率 3〜5% レンジへの改善が射程に入る一方、いずれかの要素に綻びが出れば利益の質が急速に揺らぐ構造にある。第 4 章では、この戦略が過去 5 年間でどのように数字に現れてきたかを、PL・BS・CF の 3 面で検証していく。

4. 業績動向

4-1. 直近5年の経営成績

同社の業績をストーリーの数字による証明として読むうえで重要なのは、単なる介護サービス業界の中堅ではなく、障害福祉ロールアップ企業の成長途上として解釈することである。過去 5 期の連結売上高は FY2021 4,114 → FY2025 6,660 百万円と +62% 拡大したが、営業利益率は 2% 前後で低位横ばい、純利益は単発損失で振れる構造を示している(Appendix §7-1 参照)。

出所:会社開示資料よりAENTRO Research作成
科目単位FY2021FY2022FY2023FY2024FY2025FY2026E
売上高百万円4,1144,9045,9156,2776,6607,242
売上総利益百万円247514682707
営業利益百万円△234△21520128108175
営業利益率%△5.7△4.40.32.01.62.4
経常利益百万円39△20070154127165
親会社株主に帰属する当期純利益百万円1△2536798192
EPS0.63△121.8232.3547.010.4944.07

出所:有価証券報告書および決算短信より AENTRO Research 作成(FY2024 は表示方法変更の遡及適用後)

FY2021 から FY2022 にかけては営業赤字が続いた。FY2022 の RAISE/CONFEL 取得(2022 年 9 月、愛知県の障害福祉 8 事業所承継)に伴うのれん・統合コストで営業利益は △215 百万円まで沈み込み、純利益は △253 百万円の赤字だった。FY2023 から構造的な損益改善が始まり、営業利益は 20 → 128 百万円(FY2024 組替後)へ回復した。FY2025 は 108 百万円と 14.9% 減益で、減損 63 百万円の計上が営業利益を下方圧迫したが、営業外・特別を含む最終損益に至るまでの粒度で読まないと実像は見えない構造である。

4-2. 収益構造の変化と利益率の見方

出所:会社開示資料よりAENTRO Research作成

FY2025 より「生産活動収入」を売上高に、「利用者工賃」および「生産活動費用」を売上原価に計上する表示方法変更を実施した。これは就労継続支援 B 型事業における利用者作業収入と工賃支払を、営業外項目から本業の売上・原価として明示する意図の変更である。FY2024 は遡及適用後の組替後値で比較し、旧表示の売上高 6,268 百万円・営業利益 145 百万円は注記扱いとする。組替後ベースでは FY2024 売上 6,277・営業利益 128 百万円となり、FY2025 実績(売上 6,660・営業利益 108)との比較が意味を持つ形になる。

粗利率(売上総利益/売上高)は FY2022 5.0% → FY2023 8.7% → FY2024 10.9% → FY2025 10.6% と改善基調にある。M&A 統合の初期段階で圧迫された粗利率が、統合効果と稼働改善で回復してきたプロセスが可視化されている。販管費は FY2022 463 → FY2025 598 百万円と +30% 増加しているが、これは M&A 後の本社統制機能の強化・上場維持コスト・新規開設準備費の積み増しによるもので、売上成長率(FY2022 → FY2025 で +36%)とほぼ同ペースで増えている。

営業利益率は FY2025 1.6% と低位で、マージン改善の持続性を読むうえでは、新規開設の立ち上げコストと M&A 統合コストの消化ペースが鍵となる。福祉事業の営業利益率は FY2024 7.3% → FY2025 5.9% で、新規開設費用と M&A 連結事業所の初期オペレーションコストが当期マージンを圧迫している。これらの費用は立ち上げから 1〜2 年で正常化する性質のもので、FY2026 以降の福祉事業マージン回復がシナリオとして想定される。

4-3. 財政状態と資本効率

科目単位FY2023FY2024FY2025Q1 FY2026
流動資産合計百万円3,1883,5683,6853,462
うち現金及び預金百万円2,0472,4192,4402,261
有形固定資産合計百万円1,2251,2391,3511,368
無形固定資産合計(うちのれん)百万円340(277)303(244)363(305)352(—)
資産合計百万円5,2465,7986,0835,911
流動負債合計百万円9731,2511,4671,437
固定負債合計百万円3,1173,3413,4363,338
うち長期借入金百万円3,3223,420
純資産合計百万円1,1571,2041,1791,136
自己資本比率%22.120.819.419.2
BPS551.31579.69569.39

出所:有価証券報告書および決算短信より AENTRO Research 作成

自己資本比率は FY2020 末 35.3% → FY2025 末 19.4% まで 5 年で 16 ポイント低下した。長期借入金は FY2020 末 1,596 百万円から FY2025 末 3,419 百万円へ 2.1 倍に拡大しており、M&A 実行と新規開設の両方を長期借入で賄う構造が数字に表れている。Q1 FY2026 末時点では自己資本比率 19.2% とほぼ横這いだが、純資産は 1,179 → 1,136 百万円に減少しており、配当支払・自己株式取得が季節的に効いている。

のれんは FY2024 末 244 百万円から FY2025 末 305 百万円へ +61 百万円増加した。これはパパゲーノ完全子会社化(2024 年 12 月)によるもので、ロールアップ戦略の継続を BS 側から跡付ける数字である。有形固定資産の減損損失累計額は FY2024 末 △20 百万円から FY2025 末 △58 百万円へ拡大し、FY2025 期中の減損 63 百万円の計上を裏付けている。

ROE は FY2021 0.1% → FY2022 △21.0% → FY2023 6.1% → FY2024 8.3% → FY2025 0.1% と振幅が大きい。FY2022 の M&A 統合赤字と FY2025 の減損・行政処分関連損失で純利益がそれぞれ蒸発する構造で、経常的な収益力指標としての ROE は読みにくい。資本効率の実態は、営業利益率 1.6%・自己資本比率 19.4% から逆算する形で、中期的な ROE レンジ 5〜8% 程度が同社の構造的水準と想定される。

4-4. キャッシュフローと財務運営

科目単位FY2021FY2022FY2023FY2024FY2025
営業活動 CF百万円△12△10297439192
投資活動 CF百万円△670△909△94△358△395
財務活動 CF百万円879582△15290224
フリー CF(営業 + 投資)百万円△682△1,011381△203
現金及び現金同等物の期末残高百万円2,4882,0582,0472,4192,440

出所:有価証券報告書および決算短信より AENTRO Research 作成

FCF は 5 期のうち 3 期が赤字で、年度ブレが大きい。FY2022 は △1,011 百万円と深く沈み、RAISE/CONFEL 取得に伴う投資 CF △909 百万円が主因である。FY2024 は運転資本改善と業績回復で営業 CF が 439 百万円まで跳ね、FCF は +81 百万円と 5 期で最良の着地だった。FY2025 は法人税支払 △85 百万円と投資 CF △395 百万円(パパゲーノ取得 △88 百万円含む)で再び △203 百万円と陰転した。

財務活動 CF は 5 期連続でプラス圏(FY2023 除く)で、長期借入による資金調達が継続している。FY2025 は長期借入 +950 百万円を受け入れ、返済 △670 百万円・自己株式取得 △32 百万円・配当支払 △20 百万円を差し引いて +224 百万円の資金流入だった。成長フェーズでは FCF ベースの赤字を長期借入で補填するパターンが続く想定で、FY2025 末の現金預金 2,440 百万円は約 2 年分の運転資金相当で、当面の流動性には余裕がある。

重要なのは、ロールアップ拡大が続く限り FCF の年度ブレは避けにくい構造にあるという点である。M&A 実行年は投資 CF が深く沈み、未実行年は浅くなる周期性で、単年の FCF 黒転を達成持続性の評価指標にするのは適切でない。営業 CF の絶対水準(FY2025 192 百万円)と、減価償却費+のれん償却(105 + 47 = 152 百万円)との関係から、本業のキャッシュ創出力そのものは営業利益以上に厚みがあると読める。

4-5. 直近四半期の概要と利益の質

FY2025 通期の最終利益 1 百万円は、同社の利益の質を問い直すべき 1 期として位置付けられる。営業利益 108 百万円に対し、経常利益 127 百万円・税金等調整前利益 58 百万円・最終利益 1 百万円という P/L の階段を、以下の構造で読み解く必要がある。

営業外では物価高騰対策助成金 32 百万円・受取家賃 23 百万円などの受入が営業外収益 74 百万円を作り、支払利息 25 百万円などの営業外費用 56 百万円を差し引いて経常利益は営業利益 +19 百万円で 127 百万円となった。問題は特別損失で、減損 63 百万円と行政処分関連損失 8 百万円の合計 71 百万円が税金等調整前利益を 58 百万円まで圧縮した。法人税等 57 百万円の控除後、最終利益はわずか 1 百万円に留まった。

この減損 63 百万円は、福祉事業または介護事業の個別事業所に対する減損と見られ(有報 FY2025 で対象事業所の特定が可能になる見込み)、ロールアップ拡大で拠点数を増やすほど構造的に発生確率が上昇する性質の損失である。行政処分関連損失 8 百万円は単発額としては軽微だが、都道府県(または市区町村等)による指定取消・業務改善命令などに起因する損失は、金額以上に事業継続性への含意を持つ。要するに、FY2025 の純利益 1 百万円は「構造的な赤字企業」ではなく「M&A 拡大に伴う単発損失で当期利益が消えやすい構造にある企業」の数字として読むのが正しい解釈である。ただし、この種の単発損失はロールアップ戦略が続く限り繰り返し発生する可能性があり、「単発」という言葉が持つ非反復性のニュアンスは必ずしも当てはまらない。

4-6. 通期見通し

FY2026 通期ガイダンスは売上高 7,242 百万円・営業利益 175 百万円・純利益 92 百万円で、営業利益は前期比 +60.9% の大幅増益計画である。ただし、Q1 FY2026 実績の営業利益 1 百万円は通期計画 175 百万円に対する進捗率 0.6% に留まり、上期の会社計画自体が営業利益 △48.7% の減益見込みとされている。達成の可否は Q3-Q4 の 2 四半期で通期計画の 100% 弱を積み上げる後半加速シナリオに全依存する構造である。

四半期別の利益パターンを過去期で確認すると、FY2025 は Q1 営業利益 △8 百万円・Q3 累計 67 百万円・通期 108 百万円で、Q4 単独で約 41 百万円の利益を計上した計算になる。福祉・介護事業の報酬請求サイクルと季節性を踏まえれば、後半偏重自体は同社の構造的な特徴だが、FY2026 の通期計画は FY2025 の Q4 実績を大幅に上回るペースを Q3-Q4 に求める水準である。M&A 連結貢献が期中に上乗せされるシナリオが前提と見られるが、短信時点では具体の M&A 計画は開示されておらず、達成確度は現時点で中立より保守側に読むのが適切である。

4-7. 今後の注目点

投資家が今後追うべき業績論点は 3 点に集約される。第一に、FY2026 通期ガイダンス(営業利益 175 百万円)の達成確度である。Q1 進捗 0.6%・上期ガイダンス減益という足下状況から、Q3 短信(2026 年 10 月頃)で後半加速の現実性が最初に検証されるタイミングとなる。第二に、減損・行政処分関連損失の発現頻度である。FY2025 の減損 63 百万円に続く拠点単位の減損が FY2026 以降も計上されるか否かは、利益の質の評価を決定づける。第三に、M&A 実行の継続性と買収対価の水準で、ロールアップ戦略の持続性とのれんの健全性を規定する。

総じて、同社は売上成長率 +6〜9% の中堅成長オペレーターから、営業利益率 3〜5% レンジの安定収益を生み出すロールアップ企業へ移行しつつある。ただしその移行は直線的ではなく、単発損失の発現と M&A 実行年のブレで 1〜2 年単位の振幅を伴う構造にある。第 5 章では、この業績動向を中期経営方針の数値目標に照らし、経営陣が掲げる定量目標と実績のギャップを検証していく。

5. 中期経営方針

5-1. 位置づけ — 正式中計ではなく「事業計画及び成長可能性に関する事項」

同社は、いわゆる正式な「中期経営計画」を公表していない。東証グロース(旧マザーズ)上場企業に求められる「事業計画及び成長可能性に関する事項」として、FY2023 年版と FY2024 進捗版の 2 本が年次で開示されており、これが de-facto 中計として機能している。本章で「中期経営方針」と呼称するのはこの位置付けに基づく。正式中計ではないが故に、数値目標はローリング型で毎年更新され、長期の資本コスト分析・セグメント別 CAGR の明示などは同業の大手中計に比べて簡素である。

同社を単なる介護サービス業界の一社として捉えず障害福祉ロールアップ企業として読む立場からは、数値目標そのものよりも「どのセグメントに経営資源を割り当て、どのファイナンス手段で成長を賄うか」という方針の骨格の方が評価軸として重い。本章ではその骨格を数値目標・重点施策・キャピタルアロケーション・株主還元の 4 軸で整理する。

5-2. 数値目標の読み方

出所:会社開示資料よりAENTRO Research作成
指標単位FY2023 実績FY2024 実績FY2025 実績FY2026 成長可能性資料目標FY2026 短信ガイダンス
連結売上高百万円5,9156,2776,6607,2307,242
連結営業利益百万円20128108370175
連結営業利益率%0.32.01.65.12.4
親会社株主純利益百万円6798192

出所:有価証券報告書、決算短信、事業計画及び成長可能性に関する事項(FY2023 版/FY2024 進捗版)より AENTRO Research 作成

FY2026 の売上目標は成長可能性資料・短信ガイダンスともに 7,230〜7,242 百万円レンジで、現実的な着地ラインに収束している。一方、営業利益目標は成長可能性資料で 370 百万円、短信ガイダンスで 175 百万円と 2 倍以上の乖離がある。この差は、成長可能性資料が M&A と新規開設のベストケースを積み上げるのに対し、短信ガイダンスは執行段階で固めた保守ケースを前提に置いているためと読める。

投資家目線では、短信ガイダンス(営業利益 175 百万円)を一次ベンチマークとし、成長可能性資料の 370 百万円は上振れレンジの上限と位置付けるのが実務的である。前者の達成確度自体が Q1 FY2026 進捗 0.6%・上期計画自体が減益という足下状況から後半依存度が高く、成長可能性資料の目標値に実現を期待するのは時期尚早と言える。経営陣が掲げる営業利益率 5% レンジは、同社の福祉事業セグメント単独の利益率(FY2025 5.9%)と整合的で、介護・外食を含めた連結ベースで 5% に達するのは FY2028〜FY2029 頃のレンジになると見るのが妥当である。

重要なのは、数値目標そのものよりも、同社の成長が「売上は M&A 連結貢献と拠点純増で年率 +6〜8% が見える/営業利益は単発損失の頻度で 1〜2 年単位で振れる」という構造下にある点である。投資家が見るべきは、営業利益の絶対額推移そのものよりも、(1)減損・行政処分関連損失の発現頻度、(2)福祉事業セグメント営業利益率の回復ペース、(3)M&A 連結貢献の実額の 3 点である。

5-3. 重点施策と進捗

重点施策は 3 軸で整理される。

第一に、福祉事業の拠点拡張である。FY2025 末で福祉 97 事業所、うち就労継続支援 B 型・共同生活援助・生活介護の 3 ラインが売上貢献の中核である。FY2022 の RAISE/CONFEL 取得(愛知県 8 事業所)、FY2024 の manaby 資本業務提携、FY2024 末のパパゲーノ完全子会社化(就労継続支援 B 型・のれん +61 百万円)、FY2025 の A ネクストワークス新設と、M&A と新規設立の両輪で年 1〜2 件ペースの拠点拡張が続いている。FY2026 以降も同ペースの M&A 実行が想定されているが、具体案件は短信時点では非開示で、ガイダンス達成上のアップサイド要因として留保されている。

第二に、介護事業の不採算拠点撤退と収益性改善である。FY2024 営業損失 △28 百万円から FY2025 △2 百万円へと赤字幅が縮小し、FY2026 での黒字転換が射程に入る水準まで戻ってきた。売上は FY2024 1,643 → FY2025 1,564 百万円と縮小したが、これは戦略的縮退で、残存する 32 事業所の稼働改善が次の論点となる。

第三に、外食事業の安定運営である。FY2025 の営業利益 88 百万円・営業利益率 6.5% は 3 セグメント中最大の利益率で、新規出店・改装投資は抑制しつつキャッシュエンジンとしての役割を維持する方針である。6 店舗体制は当面維持される想定で、成長可能性資料上も外食セグメントの大幅拡張は織り込まれていない。

5-4. キャピタルアロケーション

同社のキャピタルアロケーションは、成長フェーズに典型的なデットファイナンス中心の構造である。FY2025 の財務活動 CF +224 百万円は、長期借入 +950 百万円の調達に対し返済 △670 百万円・自己株式取得 △32 百万円・配当支払 △20 百万円を差し引いた結果で、純借入は +280 百万円の増加だった。自己資本比率 19.4% の足下水準から、さらなるレバレッジ拡大余地は限定的になりつつあり、次期以降の M&A 資金調達は、増資(エクイティファイナンス)か既存借入の長期リファイナンスで対応する展開が想定される。

投資配分は、成長投資(福祉事業所の新規開設・M&A)が中心で、FY2025 の有形固定資産取得支出 280 百万円とパパゲーノ取得 88 百万円の合計 368 百万円が実質的な成長投資額である。一方、株主還元は配当 20 百万円・自社株買い 32 百万円の合計 52 百万円で、成長投資:還元の比率は 7:1 程度である。成長フェーズでは還元比率が低く設計されるのは妥当だが、自己資本比率 20% を切る水準での自社株買いは、財務健全性との整合性で議論の余地が残る。

5-5. 配当政策・株主還元

配当政策は 1 株当たり配当 FY2024 10 円 → FY2025 12 円 → FY2026E 12 円 と推移している。配当総額は FY2024 21 百万円・FY2025 25 百万円レンジで、配当性向は FY2024 が純利益 98 百万円に対し 21% 程度だったのに対し、FY2025 は純利益 1 百万円のため配当性向の計算自体が意味を持たない水準まで跳ねる(当年度配当は利益と無関係に支払われた形)。FY2026 会社予想純利益 92 百万円・配当総額 25 百万円前後なら配当性向は 27% 程度となる見込みである。

同社の配当方針は「安定配当」の位置付けが近く、業績連動型ではない。FY2025 の純利益 1 百万円という異常値の期にも配当 12 円を維持した実績は、安定配当コミットメントの担保として読める一方、内部留保の蓄積ペースが遅くなる副作用を伴う。自社株買いは機動的に実施する型で、FY2025 は 32 百万円の取得を実行した。発行済株式数は FY2021 末 209.7 万株から FY2025 末 213.5 万株に微増、自己株式数は FY2024 末 30,923 株 → FY2025 末 64,677 株と約 2 倍に拡大している。

5-6. まとめと評価軸

同社の中期経営方針の成否は、障害福祉ロールアップ戦略が制度需要・ガバナンス・ファイナンスの 3 要素を同時に嚙み合わせ続けられるかにかかっている。具体的な評価軸は次の 3 点である。

第一に、M&A 実行の継続性と買収対価の健全性である。FY2024 末のれん 244 → FY2025 末 305 百万円の積み増しペースが維持されれば、売上 +6〜8% の成長は実現可能だが、買収対価が過剰になれば将来の減損リスクが拡大する。のれん償却額(FY2025 47 百万円)と減損損失(FY2025 63 百万円)の合計 110 百万円は、営業利益 108 百万円とほぼ同額で、のれん関連費用がすでに営業利益水準に匹敵する重みを持つ局面にある。

第二に、福祉事業セグメント営業利益率の回復ペースである。FY2024 7.3% → FY2025 5.9% で低下した福祉事業マージンが、新規開設事業所の立ち上げ完了とともに FY2026〜FY2027 にかけて 7% 台に戻るかが、連結営業利益率 3% レンジへの回帰を左右する。

第三に、単発損失の発現頻度で、FY2025 の減損 63 + 行政処分関連 8 = 71 百万円を基準に、FY2026 以降の特別損失がどのレンジで推移するかを四半期単位で追う必要がある。

本レポートとしての見方を最後に明示すると、同社の中期経営方針は「成長可能性資料の数値目標を予言として読む」のではなく、「同社が障害福祉ロールアップに経営資源を集中させる方針コミットメントとして読む」のが正しいスタンスである。数値目標は毎年ローリングで更新される前提で、達成は M&A 実行と制度環境の組み合わせで決まり、投資家が見るべきは数値そのものより、その背後にある方針の一貫性と利益の質の推移である。第 6 章では、この方針を市場がどう評価しているかを、株価・バリュエーション・Peer 比較の観点から検証する。

6. 株価インサイト

6-1. 株価の読み方

指標
株価(直近)709 円(2026/4/22 終値)
時価総額1,523 百万円
発行済株式数(FY2025 末)2,135,870 株
自己株式数(FY2025 末)64,677 株
PER(FY2025 実績ベース、機械値)1,467 倍
PER(FY2026 会社予想ベース)約 16.5 倍
PBR(FY2025 末)約 1.3 倍
EPS(FY2025 実績)0.49 円
EPS(FY2026 会社予想)44.07 円
BPS(FY2025 末)569.39 円
ROE(FY2025 実績)0.1%
ROE(FY2024 実績)8.3%
1 株当たり配当(FY2026E)12 円

出所:各社開示資料および株価データより AENTRO Research 作成

同社を見るうえで最初に注意すべきは、FY2025 実績ベースの PER 1,467 倍という機械値である。これは分母の当期純利益が 1 百万円まで細ったことに起因する計算上の数字で、バリュエーションとしての意味を持たない。評価に使えるのは FY2026 会社予想純利益 92 百万円ベースの PER 約 16.5 倍(仮に時価総額 1,523 百万円を維持した場合)で、これは同社の構造的な収益力(中長期営業利益率 3〜5% レンジ・ROE 5〜8% レンジ)と整合するかで判断する水準である。

時価総額 1,523 百万円は東証グロースでも超小型に分類される規模で、流動性ディスカウントが構造的に効いている。株価水準は 2025 年以降の四半期決算と FY2025 純利益 1 百万円の発表でリセットされており、過去のモメンタムを前提にした評価は避けるべき局面にある。

6-2. バリュエーションの見方

PBR は FY2025 末 BPS 569.39 円を基準に、時価総額 1,523 百万円 / 純資産 1,179 百万円で約 1.3 倍となる。この水準は、障害福祉オペレーターとしては中庸〜やや割安の位置取りである。同社の ROE は FY2021 0.1%・FY2022 △21.0%・FY2023 6.1%・FY2024 8.3%・FY2025 0.1% と振れ幅が大きく、経常的な ROE 水準を 5〜8% レンジと想定すれば、PBR 1.3 倍は期待 ROE × 期待成長率の組み合わせとして、大きなプレミアムもディスカウントも付かない中立的な値付けに近い。

期待成長率の評価で最も効くのは、FY2026 通期ガイダンス(営業利益 175 百万円)の達成確度である。Q1 進捗 0.6%・上期ガイダンス自体が減益という足下状況(§4-6)から、達成未達になれば PBR の下方調整余地が生まれる。一方、M&A 実行と新規開設の積み上げで成長可能性資料の営業利益 370 百万円方向に接近すれば、PBR 1.5〜1.8 倍方向への再評価余地がある。PBR は「現在の純資産水準を前提にした期待」の指標で、同社のように純資産が自己株式取得・配当支払・当期利益振れで年度ブレする場合、四半期単位での BPS 推移と合わせて読む必要がある。

6-3. ポジティブ・シナリオ(Opportunity 3 点)

ポジティブ要因
障害福祉需要の構造的拡大
全国の障害福祉サービス利用者数は171万人・前年比+5.9%で推移し、2040年前後にかけて就労継続支援B型・共同生活援助の需要が厚みを増す。制度ドリブンの追い風が続く限り売上成長率+6〜8%レンジは当面維持可能。
ワンストップ体制が生む参入障壁
放課後等デイから共同生活援助まで障害者のライフステージを横断で捕まえる事業者は地方中堅クラスで限定的。利用者・家族・自治体に対するスイッチングコストを構造的に高め、M&A取得事業所の定着ロジックを支える。
意思決定速度を活かした隣接領域拡張
創業家支配(持株比率約51%)によるM&A実行の機動性が競合を上回る。ワンストップ体制の拡張で児童発達支援・相談支援・就労定着支援などへのクロスセルが可能となり、1利用者あたり生涯報酬の拡大につながる。
ネガティブ要因
利益の質の持続的希薄化
FY2025の特別損失71百万円(減損63+行政処分関連8)は営業利益108百万円の65%に相当。拠点数増加とともに拠点単位の減損・指定取消リスクが構造的に上昇し、「単発損失」の非反復性ニュアンスは同社モデルには当てはまらない。
財務レバレッジ上昇と金利上昇リスク
自己資本比率はFY2020 35.3%からFY2025 19.4%へ16ポイント低下し、長期借入金は2.1倍の3
FY2026ガイダンス未達リスク
Q1進捗0.6%・上期会社計画自体が減益という足下状況から通期計画(営業利益175百万円)達成はQ3-Q4の後半加速に全依存。未達となれば株価はガイダンス修正のたびに下方調整される圧力を受け、2027年4月報酬改定の下振れシナリオが重なれば中期的なマージン圧迫につながる。
出所:会社開示資料よりAENTRO Research作成

第一に、市場拡大余地である。全国の障害福祉サービス利用者数は 171 万人・前年比 +5.9%(厚労省 2025 年 8 月時点)で、団塊ジュニア世代の高齢化と重なる 2040 年前後にかけて共同生活援助・生活介護の居住系サービス需要が厚みを増す構造にある。同社が重点を置く就労継続支援 B 型と共同生活援助は、いずれも利用者数ベースで継続拡大する制度需要の中心にある。この構造的追い風が続く限り、売上成長率 +6〜8% のレンジは当面維持可能な水準と想定できる。

第二に、収益性改善余地である。FY2025 の連結営業利益率 1.6% は、福祉事業セグメント単独(5.9%)・外食セグメント(6.5%)を引きずり下ろす形で、介護セグメント(△0.1%)と調整額(△197 百万円)が圧迫している。介護セグメントが FY2026 に黒字転換し、新規開設事業所の立ち上げコストが正常化すれば、連結営業利益率 3% 台(営業利益 200〜240 百万円レンジ)は中期の射程に入る。アンビスホールディングスのような特化型オペレーターの営業利益率 7% 超は同社の上限ポテンシャルとして参照できる。

第三に、隣接領域のオプション価値である。ワンストップ体制の拡張は、児童発達支援(就学前)・相談支援・就労定着支援など、既存の主力サービスラインに隣接するサービスを順次取り込む余地を生む。これらは報酬単価は大きくないが、既存利用者を囲い込むクロスセル性が高く、1 利用者あたり生涯報酬の拡大に寄与する。また、M&A で獲得した事業者が持つ地域ネットワーク・行政関係は、近隣自治体での新規開設の初期投資を下げるオプション効果を生む。

6-4. アンチテーゼ(Anti-thesis 3 点)

第一に、利益の質の持続的希薄化リスクである。FY2025 の特別損失 71 百万円(減損 63 + 行政処分関連 8)は、営業利益 108 百万円の 65% に相当する規模で、税金等調整前利益を 58 百万円まで圧縮した。ロールアップ戦略で拠点数を増やすほど、拠点単位の減損・指定取消リスクは構造的に上昇する。「単発損失」という言葉が持つ非反復性のニュアンスは、同社のビジネスモデルには必ずしも当てはまらない。FY2026 以降も同レンジの特別損失が繰り返し発生するシナリオを織り込んで利益見通しを立てる必要がある。

第二に、財務レバレッジ上昇と金利上昇リスクである。自己資本比率は FY2020 35.3% → FY2025 19.4% まで 16 ポイント低下し、長期借入金は FY2020 1,596 → FY2025 3,419 百万円へ 2.1 倍に膨らんだ。FY2025 の支払利息 25 百万円は経常利益 127 百万円の 20% 相当で、国内金利の上昇局面では金利負担の増加が純利払いコストを直接圧迫する。成長フェーズではデッドファイナンス依存が続く想定で、エクイティ調達(公募増資)の可能性も中期のシナリオに含めておく必要がある。

第三に、FY2026 通期ガイダンス未達リスクである。Q1 進捗 0.6%・上期会社計画自体が減益という足下状況から、通期計画(営業利益 175 百万円)達成は Q3-Q4 での後半加速に全依存する構造にある。M&A 連結貢献や稼働改善がタイムラグで顕在化するシナリオが前提と見られるが、短信時点では具体的な M&A 計画は非開示である。未達となれば、株価はガイダンス修正の度に下方調整される圧力を受ける。報酬改定(2027 年 4 月予定)の方向性次第では、同社主力サービスラインの報酬単価が下方修正される可能性もあり、この場合の影響は通期ガイダンス未達を超えて中期の構造的マージン圧迫につながる。

6-5. 同業比較

Peer 選定は、業界分類の機械的な採用を避け、同社の実態(障害福祉ロールアップ)に即して再構成した。障害福祉オペレーターを中心に、規模近似の小型企業と大型・成熟版を混ぜる設計とした。

コード企業名売上高(百万円)純利益率(%)売上高増加率(%)時価総額(百万円)PER(倍)EV/EBITDA(倍)
7083AHCグループ(対象)6,6600.06.21,5231,467.212.4
9346ココルポート6,3778.810.96,13410.95.2
2373ケア2148,1580.86.16,51715.49.4
286Aユカリア24,73511.224.735,02011.915.4
7091リビングプラットフォーム19,2051.915.35,89116.114.3
7071アンビスホールディングス49,1747.415.840,22610.97.8
150AJSH3,9673.62,12514.85.5
業界中央値(参考)15,2562.67.94,19413.28.2
業界平均値(参考)26,7042.711.312,82616.112.5

出所:ベンダー競合比較ファイル(介護サービス業界・直近年度、2026 年 4 月時点)および FY2025 決算短信より AENTRO Research 作成。JSH の売上高増加率は前年データ不備のため `—`。

AHCグループの PER 1,467 倍は FY2025 実績純利益 1 百万円の機械値であり、水準比較のアウトライアに該当する。会社予想純利益 92 百万円ベースの PER は約 16.5 倍となり、Peer のココルポート 10.9 倍・ケア21 15.4 倍・アンビスホールディングス 10.9 倍の水準と比較可能となる。EV/EBITDA は、長期借入金 3,419 百万円を含む有利子負債が EV を膨らませる一方、EBITDA は営業利益 108 + 減価償却 105 + のれん償却 47 = 260 百万円ベースで、EV/EBITDA は 20 倍前後となる計算だが、減損を除外する調整後 EBITDA と対比するとより実態に近い水準に収束する(ベンダー集計値は 12.4 倍)。

Peer 選定の基準は 3 点である。第一に、ココルポートは就労継続支援 B 型特化の小型上場企業で、同社の福祉事業セグメントのビジネスモデルに最も近いベンチマークとなる。第二に、ケア21 は訪問介護・通所介護・障害福祉の多事業展開で、同社の規模拡張後の大型・成熟版として参照できる。第三に、アンビスホールディングス(ホスピス系特化、営業利益率 7.4%)は同社の福祉セグメント営業利益率の上限ポテンシャル参照点として位置付けた。ソラスト(6197)・学研 HD(9470)・サンウェルズ(9229)等の大手高齢者介護事業者は事業構造と規模が乖離するため除外した。ウェルビー(6556)・ツクイホールディングス(2398)は参考対比として言及に留めた。

PER・EV/EBITDA・PBR の 3 マルチプルは独立に読み解く必要がある。PER は、同社の場合、分母の純利益が減損・行政処分関連損失で年度ブレするため、1 年単独の PER はあくまで参考値で、3 期平均もしくは経常利益ベース(経常利益 127 百万円を使えば PER 12 倍相当)で構造的な収益力を把握する方が実態に近い。EV/EBITDA は、ロールアップ型事業モデル由来の長期借入金が EV を機械的に膨らませるため、有利子負債の内訳(M&A 目的借入 vs 運転資金借入)を切り分けたうえでないと、純粋な事業価値の比較には使えない。PBR は、ROE 5〜8% レンジを前提にすれば、1.3 倍は中立的な値付けで、期待成長率と ROE 持続性の組み合わせで上下する余地がある。

6-6. 今後の注目 KPI・カタリスト

投資家が四半期単位で追うべき KPI は 4 点である。第一に、福祉事業セグメントの売上・営業利益率の推移で、特に新規開設事業所の立ち上げコストが消化される FY2026 の四半期決算(Q2・Q3 短信)で回復ペースが確認できる。第二に、M&A 実行の継続性とのれん残高の推移で、のれん +60 百万円/年ペースが維持されるかがロールアップ戦略の執行力の証左となる。第三に、減損・行政処分関連損失の発現頻度で、FY2026 以降の単発損失が FY2025 の 71 百万円レンジを下回るかが利益の質の評価を決める。第四に、2027 年 4 月予定の障害福祉サービス等報酬改定の方向性で、通知は 2026 年末から 2027 年初に段階的に出る想定である。

イベントカレンダーとしては、Q2 決算短信(2026 年 7 月頃)が上期ガイダンス(減益計画)に対する実績の初回検証、Q3 決算短信(2026 年 10 月頃)が通期ガイダンス後半加速の現実性を測る最大のターニングポイントとなる。有価証券報告書 FY2025(2026 年 2 月下旬発行)では、FY2025 の減損対象事業所の特定と行政処分関連損失の具体内容が開示される見込みで、利益の質の論点について質的情報が補完される。

本レポートの結論を示す。同社の株式は、単なる介護サービス業界の小型株としてではなく、障害福祉ロールアップ企業の成長途上として評価すべき銘柄である。市場が評価軸を「機械的 PER 1,467 倍」から「FY2026 予想ベース PER 16.5 倍」へ切り替えきれるか、ガイダンス達成・単発損失の収束・M&A 継続の 3 条件が揃うかが、その成否を決める。四半期決算ごとの KPI 進捗、とりわけ Q3 短信時点での通期計画達成確度と減損発現頻度が、評価軸の再設定を担うターニングポイントとなる。

7. Appendix

7-1. 損益計算書 主要科目の推移(単位:百万円)

科目FY2021FY2022FY2023FY2024FY2025FY2026E
売上高4,1144,9045,9156,2776,6607,242
売上原価4,6565,4005,5955,952
売上総利益247514682707
販売費及び一般管理費463493554598
営業利益△234△21520128108175
営業利益率△5.7%△4.4%0.3%2.0%1.6%2.4%
経常利益39△20070154127165
親会社株主に帰属する当期純利益1△2536798192
EPS(円)0.63△121.8232.3547.010.4944.07

出所:有価証券報告書および決算短信より AENTRO Research 作成

FY2025 より「営業外収益」の生産活動収入を売上高に、「営業外費用」の利用者工賃および生産活動費用を売上原価に計上する表示方法の変更を実施。FY2024 は遡及適用後の組替後数値(売上高 6,277 百万円、営業利益 128 百万円)を採用している。組替前の旧表示は売上高 6,268 百万円、営業利益 145 百万円。FY2021 以前は組替前ベースで、FY2022 以前の売上総利益・販管費は一次資料の開示粒度の都合で空欄とした。

FY2021 以前の売上は 4,100 百万円前後で横ばい、FY2022 は M&A 実行(株式会社 RAISE / 株式会社 CONFEL の取得、2022 年 9 月)によって 4,904 百万円まで拡大したものの、のれん・統合コストで営業利益は △215 百万円の赤字となった。FY2023 以降は連結増収と損益改善が両立し、FY2024 には営業利益が組替後ベースで 128 百万円まで戻ったが、FY2025 は表示方法変更後ベースで 108 百万円と 14.9% 減益。特別損失 71 百万円(減損 63 + 行政処分関連 8)が税金等調整前利益を 58 百万円まで圧縮し、最終利益は 1 百万円まで細った。FY2026E は会社計画で営業利益 175 百万円、最終利益 92 百万円を掲げる。

7-2. 貸借対照表 主要科目の推移(単位:百万円)

科目FY2023FY2024FY2025Q1 FY2026
流動資産合計3,1883,5683,6853,462
うち現金及び預金2,0472,4192,4402,261
うち売掛金9859831,017979
有形固定資産合計1,2251,2391,3511,368
無形固定資産合計(うちのれん)340(277)303(244)363(305)352(—)
固定資産合計2,0582,2292,3982,449
資産合計5,2465,7986,0835,911
流動負債合計9731,2511,4671,437
うち1年以内返済長期借入金568769767
固定負債合計3,1173,3413,4363,338
うち長期借入金3,3223,4193,321
純資産合計1,1571,2041,1791,136
自己資本比率(%)22.120.819.419.2
BPS(円)551.31579.69569.39

出所:有価証券報告書および決算短信より AENTRO Research 作成

自己資本比率は FY2020 35.3% から FY2025 19.4% まで 5 年で 16 ポイント低下した。M&A 実行に伴う長期借入金の拡大(FY2020 1,596 → FY2025 3,419 百万円、2.1 倍)が主因で、財務レバレッジは上昇基調にある。Q1 FY2026 末時点では純資産 1,136 百万円、自己資本比率 19.2% と FY2025 末からわずかに低下した。

7-3. キャッシュ・フロー計算書 主要科目の推移(単位:百万円)

科目FY2021FY2022FY2023FY2024FY2025
営業活動によるキャッシュ・フロー△12△10297439192
投資活動によるキャッシュ・フロー△670△909△94△358△395
財務活動によるキャッシュ・フロー879582△15290224
フリー・キャッシュ・フロー(営業+投資)△682△1,011381△203
現金及び現金同等物の期末残高2,4882,0582,0472,4192,440

出所:有価証券報告書および決算短信より AENTRO Research 作成

FCF は FY2022 に △1,011 百万円と深く沈み、M&A(RAISE / CONFEL 取得)に伴う投資 CF △909 百万円が原因となった。FY2023 以降は営業 CF の回復で一時的に改善したが、FY2025 は法人税支払額 △85 百万円と投資 CF △395 百万円(パパゲーノ完全子会社化 △88 百万円含む)で再び △203 百万円と陰転した。ロールアップ拡大が続く限り FCF の年度ブレは避けにくい構造にある。

7-4. 主要 KPI

科目FY2021FY2022FY2023FY2024FY2025
従業員数(就業人員、名)387446478470489
うち臨時雇用者(年平均、名)359388403383
連結子会社数(社)6668
福祉事業 売上高(百万円)3,4413,748
介護事業 売上高(百万円)1,6431,564
外食事業 売上高(百万円)1,1921,348
福祉事業 営業利益(百万円)250220
介護事業 営業利益(百万円)△28△2
外食事業 営業利益(百万円)8088
福祉事業所数(末)97
介護事業所数(末)32
外食店舗数(末)6
自己資本当期純利益率 ROE(%)0.1△21.06.18.30.1
総資産経常利益率 ROA(%)0.9△4.01.42.82.1
1株当たり配当(円)0001012
障害福祉サービス利用者数(全国、万人)171

出所:有価証券報告書および決算短信、厚生労働省「障害福祉サービス等の利用状況」より AENTRO Research 作成

事業所数と従業員数は継続的に拡大しており、FY2025 末で福祉 97 / 介護 32 / 外食 6 の合計 135 拠点体制。連結子会社は FY2025 に株式会社パパゲーノ(就労継続支援 B 型)と A ネクストワークス株式会社(新設)が加わり 8 社となった。福祉事業所のみで全体の 7 割を占める構造は、同社を障害福祉ロールアップ企業と位置づける定量的裏付けである。全国の障害福祉サービス利用者数は 2025 年 8 月時点で 171 万人、前年比 +5.9% と拡大を継続しており、構造的需要が事業所拡大を後押ししている。

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